アンダーサイカ




中は薄暗い。非常灯すら点いていないのだ。

足元に充分気をつけながら、義也はショッピングモールの奥へ奥へと進んでいく。


近日オープンと言うだけあって店の並びはお洒落で、おまけに清潔だ。
だが清掃員などの人がいる気配はない。



普通なら、こんな暗い場所を一人で歩くのは大人でも怖いはず。

だが義也は、


「……なぜでしょう…。
僕はここを…知っている気がします…。」



道なりに歩き続けると思いきや、急に角を曲がり、入り組んだ道を行く。

まるで店の位置を把握しているように。



不思議な感覚にとらわれる反面、義也はとても安心していた。

高揚すら覚えていたかもしれない。



「この角を曲がり…、あの道をずっと進む。次は…、」


なぜなら、これを進んだ先に、
自分が心の底から欲しているものがある気がするから。