振り返ったのは、


「それは困るなぁ。
皆が拓哉のレベルに落ちたら、日本は滅んじゃうよ。」


黒髪の少年だった。

ぱっちりと大きな黒い瞳をした、12歳にしてはやや小柄な男子生徒だ。



「えぇ!?
お前もひでえぞ、稔!」


「良いわよ稔、もっと言ってやって!」


二人のブーイングと声援を浴びて、稔は楽しそうに笑った。

笑いながらも、手は真面目にパソコンのキーボードを叩いている。
なぜなら彼は二人から、グループ研究の発表の構成を任されているから。
何気に一番大変な作業だ。