――ザリザリザリッ


体を床に派手に擦りつけながら、手に捕らえられたヨシヤはオバケの傍へ引き寄せられる。

私のすぐ横を通った時、


「………っ…ヨ、…!」


ヨシヤの、諦めの表情を見た。



「…ごめんなさい、豊花ちゃん…。」



「……なん…っ、」



―――なんで、謝るの…!



【コノ男ハ、罪ヲ 償イ切レナカッタ。破産シタノダ。

…ヨッテ、地獄ヘ落トス。
コノ 人鬼共々――。】


「…!!!」


破産、の単語を聞いた瞬間、私はオバケが言わんとしていることを察して絶句した…。


―――そうだ。

そうだ。なんで気づかなかったんだ。

ヨシヤは“自分の店の外に出ている”んだ。


この世界の理不尽なルールでは、自分のお店から一歩出ただけでもかなりの額の罰金が発生する。
ましてや、ここは…地下80階。


「……よ、ヨシヤ…、いや…ッ!!」



“破産したのだ。”

オバケの言葉はそれを意味していたんだ。