となるとひとつ違和感を覚える。



店の外に溢れているのは、黒い不気味なオバケたちばかり。
ヨシヤのような…“人”の姿が見えないんだ。


「買いに来るのはオバケだけなの?普通の人は?」


それを訊ねてみる。

ヨシヤは引き戸が閉まらないようストッパーを取り付けてる最中だ。


「言ったでしょう?アンダーサイカの“お客様”は彼らだけ。

僕達はお客様だけをお相手し、お互いの店には必要以上に干渉しない。
そういう主義なんです。」


「なにそれ…………。」


頭では、もうこのアンダーサイカは私の知ってる地下街じゃないと分かってる。
あんまり信じたくないけど、あのオバケたちは私たちの知らない別の生き物…。

そしてヨシヤも、きっと普通の人間じゃない。


時間とか変な主義とか決まりとか、見えない鎖にがんじがらめにされてるんだ。