薄明かりのせいで真っ黒な色をした天井。
…それでも分かる。天井から、もっと黒く暗い影みたいなものが滲み出てきたんだ。


「!!!」


ぎょろりと覗く紫色の目玉。

それは私が今まで見てきたどれよりも恐ろしい姿をした…お客様(オバケ)。


【グルルル…ッ!!】


オバケはベシャッと音を立ててヨシヤと稔兄ちゃんの間の、何も無い位置に落ちた。

体中に無数の鋭いトゲを持ち、四つん這いで鼻を床にくっつける。においを嗅ぐような仕草。
ヤマアラシとイグアナを混ぜ合わせたみたいな、とにかくすごく不気味な姿をしていた…。



オバケは首をゆっくりもたげ、稔兄ちゃんを睨んだ。



【…グルルッ……人鬼ガ。
我等ノ目ヲ盗ミ、賽ノ河原ヲ狩場ニ使ウトハ、フザケタ真似ヲ…。】