警鐘の音に重なって、どこからともなくドォン、ドォンという銅鑼の音が聴こえてきた。

何が始まるんだろう。
得体の知れないものがすぐそこまで迫っているよう。


私を体の後ろに隠しながら、ヨシヤはなぜか天井を見上げた。


その意味をいち早く察したのはキョウくんだった。


「警備隊、全員後ろへ退け!!

“お客様”のお越しだっ!!」


キョウくんの命令に素早く反応した警備隊は足並みそろえ、しかし流れるような動きでお店の出口付近まで退いた。


「ユタカ!薬屋!
お前達も……っ、」


私たちも誘導しようと顔を向けるキョウくん。
しかし言葉を最後まで言い切らないうちに、


「来た………っ!!」


ヨシヤの息を呑む音で、その場にいた全員の視線が天井へ注がれた。