あれは私だ。赤ん坊の頃の私。
苦しげに泣く私を稔兄ちゃんは押さえ付ける。
顔が真っ赤に充血してきて、泣き声も途切れ途切れ。
その悪化に伴い、稔兄ちゃんの体を侵食する“黒”が広がっていく。
「……やめ…っ、て……!」
そう必死で訴えたのは、昔の映像(ビジョン)と今の状況が重なったからか。
それとも、体のほとんどが黒い怪物に飲み込まれていく稔兄ちゃんを見て、その進行を止めたかったからなのか。
霞む意識をなんとか保ち、私は稔兄ちゃんの腕を掴む。
すると稔兄ちゃんは、声にいっそうの憎しみを込めて、
「…豊花、ボクの姿を見てどう思う…?」
涙を流した。



