「じゃあ、あの時お兄さんが固まったのって………、」


「そう。ボクが邪魔したから。
地上人を操るなんて簡単なんだよ、今のボクにはね。」


くるくると人差し指を回す稔兄ちゃんは、魔法使いにでもなったようだった。
…ただし、悪い意味でだ。


稔兄ちゃんは両手で私の両手をギュッと握り、黒い大きな瞳を向けてくる。

歳も背丈も同じくらい。こうして真正面から向き合うと、まるで双子のよう。
私はその気持ちを複雑にとらえていた。



「…豊花、吉沢が言ってたことは本当だよ。
ボクはクラスメートを“犬”として見てたし、そう扱うことに罪悪感なんかなかった。

だって反抗してきたところで、結局みんなボクに負かされるんだもの。」


「………………。」