ほんの数日前までは、皆普通に歩いたり…買い物したりしてたのに。
ホルマリン漬け標本と化してしまった彼らからは、もう生気を感じ取れない。
「…み、稔兄ちゃ………、」
「どう豊花?面白いだろ?
世にも珍しい真っ黒オバケの詰め合わせだよ。
これを作るためにボク、一人でかなり頑張ったんだから。」
ガラスケースを軽く手で叩く稔兄ちゃん。その顔は達成感に満ち溢れてるんだけど、
「…やめてっ!!
ウソって言ってよ!稔兄ちゃんがこんな酷いことするわけないでしょ…っ!?」
混乱と怒りが混ざり合って、私の体は自然と椅子から立ち上がっていた。
ステージ上の稔兄ちゃんの目をじっと…祈るように見つめる。
悪い冗談であってほしい。心の底からそう思うのに、
“事実かもしれない”という一抹の不安は頭に色濃く浮かんだままで。



