私はきちんと膝に手を乗せて、稔兄ちゃんの“見せたいもの”をあれこれ想像してみた。
ウサギや鳩のマジック?
ジャグリング?
それとも演奏?
どれでもいい。稔兄ちゃんが見せてくれるなら何でも嬉しい。
今でも夢みたいなんだ。
10年越しにこうして会えた。そんなことが普通ある?
「稔兄ちゃん、まだーっ?」
大好きなお兄ちゃんと触れ合ってる。
大事な家族と笑い合えてる。
「もーいいよー!」
もう無いと思ってたそんな幸せを、私は今こうして味わえてる。
「お待たせしました!
さあさ、ご覧ください!」
稔兄ちゃんが台車を転がしながら、颯爽とステージ上に現れた。



