中の照明も薄暗い。
目を凝らして見えたのはこぢんまりとしたステージと、赤いシートの観客席が20席。
小さい頃見たサーカス小屋に似てる。それよりはだいぶ小規模だけど。
「可愛いねぇ!」
懐かしい思い出のこともあって、私はすっかりこの空間が気に入った。
暗い照明もこの規模なら丁度いいくらいなのかもしれない。
稔兄ちゃんは嬉しそうに笑っていた。
「あはは、良かった。気に入ってくれて。
さあ、まだあるよ。豊花に見せたいもの!」
そう言うとまた私の手を引いて、座席の最前列に座らせてくれた。
他にお客さんはいない。
私だけの貸し切り状態に、胸が躍るのを止められなかった。
「ふふふ、楽しみ!
ねぇねぇ、何が出てくるの?稔兄ちゃん!」
「待ってて。すぐに持ってくるから。」
そこで一旦手は離れ、稔兄ちゃんはステージ上の暗幕の更に向こうに消えていく。



