さっきと同じ嫌な物音を立ててドアが開く。
…しかしその向こうの景色は、これまでの九龍城とは打って変わっていた。
「あれだよ、豊花。」
「わぁ……。」
通路は一本だけの狭いもの。
そこに構えるたったひとつのお店に向かって伸びていた。
それは縁日の出店(でみせ)のような、赤や緑のカラフルなテント。ただし普通の出店の3倍くらい大きい。
入り口の立て札にはメルヘンな字体でこう書かれていた。
“見世物屋”。
「みせもの…。
何を見せるの?」
見世物屋という言葉にいまいちピンとこない私は稔兄ちゃんに訊ねる。
稔兄ちゃんは答える代わりに、お店の中に引き入れた。
分厚い暗幕をくぐる私たち。
「暗いから、足元に気をつけて。」
「うん。」



