連れられるままに私たちはまず、マサちゃんのいる2番街へ入っていった。


「ここ?」


「ううん。まだまだ先。」


でも稔兄ちゃんの目的地は違うみたい。
マサちゃんに一目会いたかったけどまた今度ね。



手を引かれて、3番街、4番街と抜けていく。
…ここまで地下に来るとだんだん景観が変わっていった。


「………?」


これまでは、比較的面影のある普通の地下商店街の並びだった。

でも6番街を過ぎた辺りからお店はどこも寂れ、壊れ、異臭が鼻をつくようになってくる。
スラム街とか九龍城って言葉がピッタリな光景だ。



「………稔兄ちゃん…?」



「この辺りは、生前大きな罪を犯した商売人が配属される区域なんだ。
生前の行いが健全な奴ほど1番街に近くなり、罪深い奴ほど数字の大きい区域に追いやられる。

比較的優秀な奴は警備員や配達員になって地下街中を歩き回れるけど、そうじゃない商売人たちはひたすら店で縮こまってるしかないんだ。
…面倒臭い制度でしょ。」