「豊花ちゃん。」
「んっ?…なに?」
急に声をかけられてビックリした…。
ヨシヤは湯呑みを置いて、代わりに頬杖突いて私を見つめる。
雑談好きな若者らしい仕草だと思った。
「きみのことを訊いても構いませんか?」
「私のこと?」
初めてだ…。
名前を訊かれはしたけど、それ以外のことなんて。
戸惑いながらも頷いた。
「ふふ、ありがとうございます…。
豊花ちゃんは今いくつなんですか?何年生?」
「えと、12歳。6年生。」
「へぇ、思ったより若いんですね。しっかりしてる。
ふふ…こうして大人とお茶するのは初めてですか?」
「…う、うん、まぁ…。」
「あ、緊張しなくていいんですよ。
何も恐いことはありません。
本当、何もしませんから。」
「………………。」
台詞の節々から児童誘拐犯みたいなニオイがするけど気のせいであってほしい。



