アンダーサイカ



電話が済むと、途端に室内は静寂に包まれる。
あるのはお互いがお茶をすする音だけ。


時々ふと、ヨシヤが話題を出してきたけど、


「久しぶりです。
誰かとこうしてお茶を楽しむなんて、もうできないと思っていました。」


「配達員さんやキョウくんはお店に入れるでしょ?」


「彼らとは仕事上の付き合いと割り切っていますから。
顔を付き合わせて仲良くお茶するなんて御免です。」


「…かわいそ。」


それも長くは続かなかった。


「………。」

お茶を一口飲む。

彼に訊きたいことは山ほどあった。
商売人たちが幽閉されてる理由とか、この世界の正体とか、ヨシヤ本人の正体とか…。

でもそれを一息に訊ける自信がなかった。

なぜかな……。