アンダーサイカ



ヨシヤはもう何も言わなかった。

何かいいたげな目はしているけど、これ以上は何も言わないほうがいいと判断したようで。



対する警備員さんは、声をヨシヤの時よりも荒げた。


「理解しろ小娘ッ!
ここがどんな所か、その目で見たはずだ!

…薬屋に情が移ったか?残念だがその男は私利私欲のためにお前を利用しているだけだ!」


―――うん、そうかもしれない。

そう思っても、私は何も答えなかった。


警備員さんが叫んだ。


「お前はみすみす…自由を捨ててもいいのか!?
“我々のように”…!!」



それは威嚇だった。


動物は身を守るために吠えるけど、この人は違う。

関係ない私を逃がすために吠えてるんだ。
同じ苦しみを味わわせないために…。