「名を教えろ。
そうすればその男から、貴様を救うことができる。」
「え………?」
「っ!!」
それって、名前の支配…?
ヨシヤだけでなく警備員さんにもこき使われるんだとしたら御免だけど、警備員さんの意図は他にあった。
「名の支配は、地上人の行動すら支配する。
俺が貴様に“薬屋の言葉を聞くな”と命じれば、…薬屋の支配は効かなくなる。
複数人に支配された場合は後の者に有利な決まりだ。」
「…そんなことが…。」
さすが警備員、というべきなんだろうか。この人は本当に真剣に、アンダーサイカを取り締まってるんだ。
「支配」と口にしていても、実質的には私を逃がそうとしてくれている。
それに、今の言葉の信憑性は、
「………っ…!」
憎々しい笑顔で警備員さんを睨むヨシヤが証明してくれている。



