「“協調性を持て”とでも諭したいんですか?
この世界に平穏や安らぎなんてものは存在しないんです。
地獄のような日々を何年も…何十年も強いられ、少しでも楽になりたくて各々(おのおの)救済の道を模索しているのです。
…僕にとってはそれが、地上人を手に入れることだった。
商売人が自分の平穏を望むのは、いけないことですか?」
今度は警備員さんが黙る番だった。
私は不安げにヨシヤを見る。
前に立ちはだかる彼は一見すると私を護ってくれているようだけど、これも本当は“私のため”じゃないんだ。
“自分の戦利品を取られたくない”。ヨシヤの冷たい笑顔からは、そんな気持ちが滲み出ていた。
「………小娘。」
「ッ!?」
ふいに警備員さんに呼びかけられた。



