でも傷付けるつもりじゃないみたい。
構えた状態から動くことなく、警備員さんはこう吐き捨てた。
「…下衆(げす)が。
貴様のような身勝手で独断的な商売人がいるせいで、この世界がいつまでも人鬼や…お客様方の強圧に苛まれ続けているのが分からないのか。」
「…………。」
ヨシヤは反論しない。
確かに、商売人が地上人を支配して、そして食べると人鬼になってしまう。
人鬼になったからには、次は商売人たちの命を脅かす。
ヨシヤ自身、傀がどれだけ恐ろしいものか分かってるんだ。
狡猾なオバケたちと同じくらい。
「…だったら、何だと言うんです。」
でも、
ヨシヤの決意はそれよりずっと強く、ずっと哀れだった。



