しかし、どうだろう。
「…………。」
「………………?」
ヨシヤは首に手を添えただけでそれ以上何もしなかった。
首を絞めるわけでも、爪を立てるわけでもない。…妙だ。
「……ハァ…。本当に余裕がないんですから……。」
「………え………?」
ひどく悔しそうに呟いたヨシヤが、私の首からパッと手を離した。
…でも心なしか、彼はどこかホッとしているようで。
開け放たれた戸の目の前に、山のように大きな人影が立ちはだかったのはその直後だった。
「…薬屋。また貴様か。
営業時間にはまだ早いはずだ。一体何をしている…?」
軍服に、銃剣…。
それは以前も目にした、恐ろしい形相の警備員さんだった。



