さっきの塊のオバケを“お客様”と呼ぶくらいだ。
警備員さんはどれだけ怖い姿をしてるんだろう。


一人また震えだす私。

…待って。ということは、


「わ、私も引き渡すの…っ?
警備員さんに…!」


だって私はここの住人じゃないし。この人が私を匿う理由もないし。

じゃあ、じゃあ…、

―――引き渡すしかないじゃない…!



最悪の返答を覚悟して、つい身構える。


男の人は相変わらずニコニコと笑ったまま。
何がおかしいのか楽しいのか分からないけど、私にとって都合の良いことを考えてないのは明らかだ。