「…ふふ、もういいですよ。
一人で怖かったですね。」


急に優しい声で、男の人はそっと私の頭を撫でた。

ちっちゃい子にするみたいで嫌だったけど、その優しい手つきのおかげで少しだけ不安が和らいだのも本当で。



警戒心マックスだったけど、今頼れるのはこの人しかいない。
私は恐る恐る言ってみた。


「…と、友達が…まだあっちにいるの。早く迎えに行かないと…。」


「ああ、だからさっき、あっちへ行こうとしたんですね。

それなら心配要りませんよ。
“ここ”の住人でない者が紛れ込んだ場合、警備員さんが見つけ次第地上まで連れ出してくれます。
子供相手ならそう時間はかからないでしょう。」


住人とか、警備員とか、この人の言うことはやっぱり分からない…。


「…連れ出すって…、乱暴なことするの?」

「抵抗するようなら多少は。」