率直でなく遠回しに言うのが好きなヨシヤに代わり、配達員さんがハッキリとこの塩の正体を明かす。
「これはな、坊様がよくやる“お清めの塩”ってヤツだ。
葬式帰りとかに、家に良くねぇモンを入れねーためのな!
一度くらい見たことあんだろユタカちゃん?」
「……………。」
さりげなく名前を呼ばれたことは正直どうでもよかった。
…ただ、
―――お清めの塩…。
私は家のリビングで見た、お寺のチラシを思い出す。
あのチラシにも、確かにお塩のことは書いてあった。
ここしばらくの間で我が家にあった不幸といえば稔兄ちゃんの死…くらい。
「良くないものを家に入れないため」って、それは稔兄ちゃんの霊も…含まれるのかな…。



