「…あのねぇ、それを言ったら野山のお花研究とか何の意味があるのよ?
そうそう山なんか行かないってのよ。ここ東京よ?」


「麻里(まり)ちゃんグループの悪口言っちゃダメだよ。」


ちなみに麻里ちゃんっていうのは同じクラスの別のグループの班長。潤ちゃんはあんまりこの子が好きじゃないらしい。



その例えに納得したのかしてないのかは分からない。
拓くんはパソコンの画面と睨めっこしていたと思ったら、次の瞬間には「だぁー」と叫んで椅子にもたれ掛かってしまった。

“飽きた”。
体がそう表していた。




「なあ、正直に言えよ~。何も無いんだろ?そんな大袈裟な事件なんて?
ならそれでいいじゃん!平和が一番じゃん!」


拓くんの泣き言は半分図星を突いていた。

確かに惨殺事件も猟奇事件も起こったのは別の町。
この町で起こったことといったら車の接触事故とか、あるいは……、