そんな時。
「……薬屋。
まだ営業時間ではないぞ。一体何をしている。」
閉めておいた引き戸の向こうから、高圧的な声が降り懸かってきました。
この世界の中で通路を渡り歩けるのは配達員と警備員、そしてお客様だけ。
ついでに、聞き覚えのある声だったので、僕が返事をするのにそう時間はかかりませんでした。
「警備員さん、こんばんは。
今は食事中です。ちゃんとお仕事もしますから、まぁそうカッカしないで。」
彼は他の警備員の倍くらい決まりにうるさい。
僕がいつ店を開けようが、何を食べようが勝手でしょうに。
「そうか、ならばもう終えろ。
さっさと照明を消し、お客様方の到着に備えろ。」
しかしその警備員さんは、執拗に僕に突っ掛かってくる。
よほど明かりを消させたいらしいのです。