「かしこまりました。」 男の人は爽やかに答え、一度店の中に戻って来た。 「…っ!」 口を利くなと言われて声が出せないから、私はかわりに少し身を乗り出した。 男の人は唇に人差し指をあてて「静かに」のポーズをとる。 棚から酔い止めらしい薬袋を取り、もとのように塊のほうに戻っていった。 ―――あ…………。 私は思わず落胆する。 よっぽど心細かったのだと気づいて、自分自身に失望した。