―――


「…はて。
今の豊花ちゃんは、何に笑っていたんでしょう?」


薬の味は変えていないはずだけど。

彼女曰く「苦い」らしい液体を軽く揺すって、僕はちょっぴり自問自答です。



クルッと後ろを見れば、火の消えたすき焼き鍋がひとつ。

さすがに二人でも消費しきれませんでしたね。
いつもなら僕が丸二日はかけて食べるんですが。


「…………。」


僕のぶんとは別の、小さめのお茶碗がひとつと、ピンク色のお箸が一膳。

僕はピンクのお箸を手に取って、


「……あむっ。」


そのお箸で、すき焼きのお肉をつまんで食べます。



モグモグ…。
よく噛んで、よく噛んで…、



「…………?」


でも、変でした。
さっきまではあんなに美味しかったのに、今は、



―――美味しくない………。