「ほら、通路の邪魔になりますよ。こっちへ。」
「あっ……!」
それを救い上げてくれたのはさっきの男の人。
専用道から薬屋の中に移動させると、手近な丸椅子に座らされる。
そして、こんな言葉を付け加えた。
「僕がいいと言うまで口を利いてはいけませんよ。」
「え………?」
黒い塊の群れが専用道を埋め尽くしたのは、その直後だった。
「これは皆様、今宵は早いお着きですね。」
驚いたのは男の人が、一人で塊の群れに話しかけたことだ。
意思を持って動いてるようだったから、生き物だってことは分かるけど…、言葉が通じるのかな…。
私は、陳列棚の隙間からやり取りをそっと眺めることにした。



