懐中電灯をその場に残して、私は二人が消えたほうに向かって走り出した。 ここは変だ。異常だ。 早く二人を見つけて帰らなきゃ。 でも、後ろに振った腕を、 「あっ…!」 いきなり誰かに掴まれた。 「待ってください。そっちは専用道ですよ。」 さっきの男の人だ。 困った笑顔を少しも崩さず、私の腕をがっちりと捕えてる。 …その不動の笑みがなんだかすごく怖かった。 「は、離してっ!拓くんと潤ちゃんがあっちにいるの!! 早くここから逃げなきゃ…!」 「ここから逃げる…? …もしかしてきみは…、」