お年寄りみたいに真っ白な髪。太陽に焼けてない真っ白な肌。
お医者さんみたいな白衣を羽織って。
不自然に白ずくめのお兄さんが、微笑みながらクッキーの袋を差し出している…。
私がなぜその姿を確認できたかというと、
「…あ、れ………?」
私が背にして座っていた斎珂薬局に、いつの間にか明かりが灯っていたのだ。
閉まってたはずのシャッターは無くなっていて、代わりに木製の引き戸が付けてある。
中に見える棚には、薬や健康食品が狭いスペースに押し込むように陳列されてる。
5年前の風景に似てる…けど、何かが違っていた。
…奥に見えるレジに人の姿はない。昔は見慣れたおじさんが店番してたのに。



