――カサッ 「?」 今、耳元で物音…した? なんだろう。紙とは違うみたい。 お菓子のビニールの包みでも開けたみたいな…。 ―――お菓子? 空腹に負けた私は、音に釣られて、つい顔を上げてしまった。 「あ…。」 健康フルーツクッキー。 いちご味…。 私の目線の高さに、大好きだったクッキーの小袋が差し出されていた。 懐かしさで、目が離せなくなって、私は肝心なことに気づかなかった。 “誰がこれを差し出しているのか”。