ヨシヤは、昨日みたいな不気味な笑みは浮かべなかった。

ただ楽しげに口元を綻ばせる。
まるで怯える私を見て喜んでるみたいに。嫌なやつだ。



「そのふたつの質問には答えてあげたい。でもそうするとお仕事に支障が出るので、まだ教えてあげません。

…大丈夫。
いずれ嫌でも分かる日が来ますよ。」


「………それって………、」



―――私を食べる日のことでしょ。



渾身の皮肉は、私の鼻水をすする動作に掻き消された。



とりあえず分かったことがひとつだけある。

それは、私の期待も虚しく、ヨシヤに私を食べるのを諦める気は全く無いってこと。相変わらず。



この時私の脳裏には、自分が美味しく調理されてヨシヤのお夕飯のテーブルに並ぶ映像が、いやに鮮明に浮かんだのだった。