こんなにテンパる私とは違い、ヨシヤは至って冷静だ。
なぜなら彼は私よりもこの世界に詳しいのだから。
「大丈夫ですよ。
確かに僕は地上人である豊花ちゃんを食べたいと思っていますが、お客様方は違います。
地上人だからといって僕ほど血眼にはなりません。せいぜいさっきみたいに物珍しがる程度ですよ。
…なぜなら、地上人を食べたところで、方々には何のメリットも無いのですから。」
「…そ、そうなの…?」
するとまた新たな不安が芽生えた。
その口ぶりだと、“ヨシヤ”が私を食べることはそうとうのメリットがあるってことになる。
以前は訊けなかったふたつの質問…。
「ヨシヤはあのオバケと何が違うの?
…なんでそんなに私のこと…食べたいなんて言うの…っ?」
込み上げてくる涙は抑えられそうもない。
店内にオバケがいなくて本当に良かった…。