「私の名はアカツキ、観衆の皆様にはしばしご迷惑をお掛けする」

リーダーらしき謎の男アカツキは観衆をとどめ続けたが何をするわけでもなく、時折目をつむり何か瞑想したりしている。アーサーさんたちはひざまずかされて、まだ銃を突き付けられている。

「お家に帰りたい」
「我々をどうする気なんだ」
「おい、人質ならば政府にちゃんと交渉しているのか?」

観衆のざわめきが高まって、謎の男たちが制止をするために動き出そうとした瞬間のことだった。
アーサーさんとニコさんは息を合わせたように両脇の男を突き飛ばして均衡を破った。銃声が鳴る。ふたりは素早くラビィに乗り込むと武装した人間に立ちはだかった。

それに乗じて観衆も逃げ始めた。リンさんとラルフさんもラビィに乗り込もうとしたが、突如、黒いラビィが現れ、ふたりの機体をなぎ倒してしまった。

「手荒な真似はしたくなかったが」
声の主はアカツキだ。

どこに隠していたのだろうか。スタジアムのあちこちからも黒いラビィが現れた。

アーサーさんたちがここは食い止めると合図した。それを見たリンさんたちは逃げ遅れた僕らを連れてスタジアムからの脱出を試みたが、扉が閉まり道を塞がれた。ふたりがヘルメットを脱ぎ捨てる。