「あのっ、薬…」 奈南のお兄ちゃんは布団から、顔だけ出した。 コップの水と市販の風邪薬を口に含んで 顔を歪ませた。 「まっず…」 そりゃもちろん薬だもん 苦いに決まってるでしょ! そんな言葉は飲み込んだ。 微かに聞こえた 「ありがとな」 って言う言葉は 聞こえないふりをした。