マスカケ線に願いを




 合コンの帰り、私は繁華街にある広場のベンチに座っていた。
 何をするわけでなく、一人でぼんやりとしていた。

 通りかかるカップルを見るたび、いいな、と思ってしまう。

 たしかに、私は一人でもなんでもできるし、他人は頼らない。
 たしかに、一人でも大丈夫かもしれない。
 だけどたまに、一人だと無性に寂しくなることがある。
 一人でいると、悲しくなってしまうことがある。

 私は気が強くて、しっかりしているから、みんなが私を慕ってくれるけど、でも腹を割って話せる人は少ない。
 対等な立場で話が出来る人は、話をしてくれる人は、なかなかいない。


 私は右手を見た。
 そこに走っているマスカケ線。
 それをそっとなぞった。

 正直、損な性格だと思う。
 どこかで読んだけど、女性でマスカケ線を持っている人は、婚期が遅れるらしい。
 我が強いせいで、それに見合うだけのパートナーに出会うことができないから。

 なんでもできて、容姿も優れている私を、羨望の目で見る人もいれば、ねたみの対称にする人もいた。

 私は人より少し器用なだけ。
 私は人より少し容姿に恵まれただけ。
 どこにでもいる、普通の女。

 それでも人は、私を完璧な人みたいに称する。
 勝手に私を完璧だと思い込んで、離れていく。

 本当は私だって、恋愛したい。
 恋に落ちてみたい。

 でも、私の何かがそれを許さない。