「でも、なんか胡散臭いから」
「うん?」
「この前、私を騙して合コンに出席させた前科があるからね」
その言葉に、ユズは考える顔になった。そしてそっと私を抱きしめる。
「明日、仕事の後?」
「たぶんね。奢るとか言ってるけど……」
「俺も行く」
私は驚いて目を見張った。
「なんで?」
「合コンなんか行ったら、俺の杏奈に悪い虫がつく上に、杏奈が堕ちる」
私はユズを見つめた。
「ユズがいるから、私堕ちないよ。それに、合コンって決まったわけじゃないし」
「でも、杏奈の友達に俺のこと紹介するくらいはいいだろ」
くすくす笑いながら私の額にキスを落すユズ。
「そうだね。紹介してあげてもいいよ」
「なんだそれ」
私は笑って、ユズの頬を両手で挟んだ。
「ん?」
「なんでもない」
そのままでじっと見つめあう。
「杏奈」
ユズはにっと笑って、私を引き寄せた。
「あんまり、余計なことは考えるな」
「……うん」
「俺がそばにいるから」


