「そんなことばっかり言ってると、明日はお弁当作ってあげない」
「そんなこと言うなよ」

 不満そうに口を尖らせるユズの唇に、一瞬ちゅっとキスをした。

「でも、ユズが可哀想だから、今日は泊まってあげる」
「……く」
「何?」
「なんでもない」

 真っ赤な顔を、手に持った食器で隠せず、悔しそうな顔をするユズが可愛い。

「じゃあ、ここ洗っておくから、ユズはお風呂の用意をしてきて」
「一緒に入る?」
「入らない」
「ちぇっ」

 ユズと一緒にお風呂なんて入ったら、休まるものも休まらない。

「明日はお仕事なんだから、ちょっとぐらい我慢して」
「はいはい」

 ふてくされたように答えながらも、本気ではないようだ。
 リビングを出て行ったユズを見送って、私は食器を洗い始めた。


「あーんな」
「きゃっ」

 洗い終わって、手をぬぐっていたところ、いきなり後ろから抱きすくめられた。

「ユズっ、驚かさないで」
「充電」
「きゃっ」

 半ばユズに抱えあげられるように、二人してソファに崩れ落ちた。
 ぎゅうっと私を抱きしめるユズ。

「ちょっと……っ」

 私の首筋に顔をうずめ、キスをするユズ。