ハナミズキ




お昼休み、私と椎名ちゃんは廊下でだべっていた。












「でね?

その後…」


内容は、稀代くんとのノロケ。

聞き飽きないから楽しいんだけど。

てゆうか、椎名ちゃんは稀代くんの話するとき、すごく嬉しそうな…幸せそうな顔をするの。



よかった、幸せで。

そう思えるのは自分が幸せな境遇にいるからなのかも知れない。


私は、お腹をさすりながら、しみじみそう思った。


「……あなたのパパは、今は眠っているけれど必ず目を覚ますからね………」


小声で私は赤ちゃんに語りかけた。


「?何か言った?恋華」

「う、ううん!なんでもない」


危ない、危ない……

ここ学校だった。





妊娠8ヶ月ともなると、そろそろお腹が目立ってくる頃だ。


だから、あまり目立たないように過ごしている。


予鈴がなるまで、椎名ちゃんとしゃべるつもりだったのに、突然廊下が騒がしくなった。



男子同士のケンカらしい。