ハナミズキ




その声を聞いたとたん、私は走って逃げた。


…でも、満足に走れるわけでもなくて…。


結局私は、何もかも中途半端なまま、捕まった。



「……恋華ッ!逃げんな!!」


「やぁ…っ離してっ、遊李さんッ!!」


遊李さん…どうして…


「離さん!!……ごめん、恋華…俺なんも分かってなかった。

…この手紙……読んだ。」


遊李さんは、手に握っていた私の手紙を差し出した。