ハナミズキ




…ホンマは解ってた。




あいつが俺のために別れようとしてくれたこと。



解ってた。



けど…認めたくなかった。



手紙がどんどん涙で濡れていく。


男が情けない。


何が、心理や。


一番大切な人の心の声を聞かれへんかったなんて、心理科の医者が聞いてあきれる。


「アカンな、俺……。大人としても、医者としても、……彼氏としても失格や。」


たった一人の大切な彼女……。



「…アイツは…俺のために…」


ここまでしてくれた。



でも。


何のための彼氏や。


何のための俺や。




“つらい時” “苦しい時” “悲しい時”



精神が不安定なときこそ、俺がしっかり支えてやらなアカンかったのに。



何が、“会えなくても”や。



そんなん、寂しいに決まってるやん。



「結局俺は…恋華に甘えてただけやんけ…!!」







俺は手紙を握りしめ、病院を飛び出した。




こんな手紙残しといて、院内に隠れてる可能性は低い。



しかも、恋華はまだ事故った身体で動けるほどタフちゃう。


まだそう遠くには行ってないはず…!!


俺は夢中で、近くを捜した。