「いただきます」


颯太さんの作ったカルボナーラを一口食べる。


「ん!おいしい!」

「でしょ?料理、得意なんだ!」

嬉しそうに見つめる颯太さんの顔は、子供みたいにキラキラしていて、私まで嬉しくなる。

それに、本当に美味しい。

「空腹は最良の調味料」なんて言葉があるけど、空腹じゃなくても美味しいものは美味しい!

私は夢中で食べ続けた。

さっきまで僻んでたのに、そんな気持ちもどこかへ行ってしまうほど、美味しくて。

そんな私を颯太さんは優しく見つめている。


ちょっと幸せかも?


そんな風に感じる。




夢中で食べていたら、お皿はあっという間に空っぽ。

「あー、美味しかった!」


お腹は満足。

そうなると、やっぱり気になる。

颯太さんの事…

もう意地悪な婦警さんの気分じゃないけど、聞くことは聞かなきゃ。

ティッシュで口許を拭くと、颯太さんに向き直した。

「颯太さん。さっきの質問の続き。」

「…追い出される…?」

帰ってきたのはそんな言葉。

まだ何も聞いてないのに…。

颯太さんの名前以外聞けてない。

それと「私の笑顔を守る」ってこと以外。

それ以外は答えてくれない。


「…追い出す?」

そう問いかける颯太さんの目は、捨てられた子犬のような目になっていた。