なんだか私、僻んでる。

悔しいくらい、僻んでる。

最低だなー


「また!百面相してるよ!それに、何にも言わないなら、適当に台所借りるからね!」


そういうと、颯太さんはキッチンへと向かっていった。

「百面相…か……」

さっきまで颯太さんが横になっていたベッドに転がる。

両手でグニグニと顔を揉む。


「百面相じゃ…ないもん…」

悔しいくらい綺麗な顔をしていて、時々悲しい目をしていて。

出会ったばかりなのに、一緒に居ると楽しくて……。



横になっているベッドからは見えないけど、キッチンからは颯太さんの鼻唄と、お鍋や食器の音がする。

誰かが居るって、こんなに安心できることなんだ。

それに気がつけたのは、颯太さんに出会えたから。

でも、それを認めるのが悔しいから


「颯太さんのバカ……」


って小さく呟いた。


聞こえていないと思った呟きは、案外大きく響いたようで、しっかり「誰がバカ?」と、返されてしまった。