わたしの魔法使い

どれくらい二人で笑っていたんだろう?

話し出そうとして笑い、堪えようとしてまた笑い、もう何が可笑しいのかわからなくなるほど、二人で笑い転げた。



笑い過ぎてお腹が痛い。





「あー、笑ったー。こんなにお腹が痛くなるまで笑ったのは久しぶりだー!」


「私もです。あ、でも!颯太さんがゴン太と取っ組み合いしていたのも可笑しかった!!」

ゴン太との取っ組み合いを思い出して、また二人で笑った。

話題のゴン太と言えば、部屋の隅にある自分の寝床で「我関せず」という顔で寝ている。

そりゃーもう気持ちよさそうな顔で。





「そういえば…よくお腹が鳴ったね~」

「そ、それは。それは、颯太さんが倒れるから!倒れて、熱なんて出すから!!だから…」



ポンっ



優しい手が頭に乗る。

温かくて、大きな手。

そして「…ありがとう…」という、やわらかい声が聞こえた。




…だからね、そんな風にされたら、ドキドキするっていうの…




そんなドキドキした私の気持ちなんて知らない颯太さんは


「そういえば、僕もお腹すいたな~」

なんて暢気に言っている。


ベッド脇の時計を見ると、もうお昼を過ぎていた。