その目が恥ずかしくて、また俯いてしまう。


真剣な目も、その奥に隠れてる悲しみも、今向けられている優しい目も。

そのすべてにドキドキする…


昨日会ったばかりの、「魔法使いの弟子」と名乗った左えくぼの颯太さんにドキドキしている。



このドキドキは何なの?




これは……恋……?



これまで先人達がたくさんの言葉で書いてきた……

恋ってやつですかー?!


自分でも書いてきましたよ!

たくさんの言葉を使って、甘い恋のお話。

だけど…


だけど……




イヤイヤイヤ、違う!

断じて違う!

恋はほらっ!

もっと運命的な出会いだったり、今まで友達だと思ってた人が突然気になり出したり。

そういう始まり方をするじゃない!


だから違う!

絶対違う!


目の前に座る颯太さんは綺麗な顔をしているから!

綺麗な人に見つめられたら、誰だってドキドキするじゃない!

そうよ!それそれ!




私はポンっと手を叩いて顔を上げた。

目の前にはやっぱり綺麗な颯太さんの顔。

…が、何かを我慢するように歪んでいく。


「…百面相……」


そう呟くように言うと、



「ぷっ、あはははー!もーダメ!おかしい!おかしすぎるー!」


と笑いだした。


し、失礼な!

こんな可愛い女の子を前にして、「百面相」とは何だ!

唖然というか、憮然というか、そんな顔をした私を見て、また笑い出す。


「……ひどいです……」


そう言い返すことしかできなかった。

だってまた





グ~~~~~~





ってお腹が鳴っちゃって、それを聞いた颯太さんは、お腹を抱えて笑い続け、それにつられて私も笑い出しちゃったから。