過去があるから今がある……か……

好きになることは難しいかもしれない。

でも、朱里と一緒にいて、僕は僕自身の過去を受け入れ始めた。

“こんな僕が…”

そう考えることが減った気がする。

朱里といたら、きっと過去の自分も“自分なんだ”って、受け入れられる。



……朱里と一緒にいたい……


幸せにしてあげることはできないかもしれない。

だけど、二人で幸せになりたい。




「…――ほらっ。颯太くんの中じゃ、答えは出てるんでしょ?」

「………はい」

「それをそのまま朱里ちゃんに伝えればいいのよ」




落合さんの言葉に背中を押された気がする。



僕は…もう二度と朱里と離れたくない。


「ありがとう……ございました……」


そう言って頭を下げると、ギュッと手を握られた。


「颯太くんと知り合ってまだ日が浅いけど、息子のように思っているの……だから、幸せになってね……」


息子のように……か……

落合さんのような人が母親だったら……僕は違っていたのかな?

こんな風に、過去に囚われたりしなかったんじゃないかな?


……考えても仕方のないことだけど……


でも……

でも、僕が僕で、今までの事があったから朱里に会えて、今幸せに思える。


……僕は僕で、よかった……