颯太のキスは優しい。

他の誰ともしたことがないから比べようもないんだけど、それでも優しいと感じる。

言葉で何万回も愛してると言われるより、キスが雄弁に語ってくれる。

愛してるって……


そんな優しいキスの合間、ふと疑問に思ったことを言ってしまった。


「ねえ…颯太。ひとつ、聞いてもいい?」

「なに?」

「…こうしたあと、男の人って必ず腕枕、するでしょ?何で?」


静かな部屋に響き渡っていたリップ音が止まる。

一瞬の沈黙が落ちる。


……聞いちゃ……いけなかったかな………?

不安になり、そっと目を開けると、目を丸くして私を見つめる颯太の顔があった。


「あ、ごめん……変なこと聞いちゃって」

「それは……作家としての疑問?それとも、朱里自身の疑問?」

「………」


少し拗ねたような、怒ったような声が耳に届く。

だってね、本読んでても、友達に聞いても、必ず男の人は腕枕してて、それが当たり前みたいに書いてあるじゃない?

実際にされたことなかったから、そんなもんなんだーって思ってたけど、されてみると大変そうだなーなんて感じちゃって。


………なんて自分のなかで言い訳しててもしょうがないんだけど。

これって、作家としての疑問なのかな?