しばらく頭を抱えて考え込んでみたけど、なかなかこれ!っていう名前が思い付かない。


「う~~~ん」


出そうで出ない。





……

………


…………便秘みてぇ……


「ダメだ……」


考えれば考えるほど、わからなくなる。

わからなくなればなるほど、朱里の笑顔が思い浮かぶ。

朱里の笑顔を振り払うように頭を振る。



そういえば、こうやって頭を振ってたのを見られて、かなり笑われたっけ。

たった1年前のことなのに、すごい昔のような気がする。


……って………


あー!ダメだ!

どうしても朱里の顔が浮かぶ。

「…――あ」


“魔法使いの本屋”ってどうだろう?

それとも“本屋の魔法使い”?

朱里の顔が浮かんでたのは、“魔法使い”って言葉を使えってことだったのかな?


「う~~~~~~ん……」


決めた!

“魔法使いの本屋”だ!



本には不思議な魔法がある。

楽しいこと、悲しいこと、辛いこと。

自分に起こることのない、別の世界に連れていってくれる。

それを伝えられる本屋になりたい。

僕はそれを伝える手伝いがしたい。

だから“魔法使いの本屋”。