俯く朱里の頭に、もう一度キスを落とす。


僕ってこんなにキス魔だったんだ。

朱里といると、今まで知らなかった自分と出会う。

それが嬉しいやら、恥ずかしいやら…



「……颯太のバカ……」

「バカで結構ですよ。」

「大バカ……でも……」

「でも?」

「何でもない!もういい!」



あーあ。拗ねてそっぽ向いちゃった。

相変わらず顔は真っ赤だけど、その顔は優しく緩んでる。

まったく……

可愛いんだから。



「さっ、買い物行こう?今日は何にしようかな?」

「……美味しいもの。」

「んー、具体的には?」

「……中華」

「はいはい。……で?何がいいかな?中華以外で!」

「いぢわる……」




財布を手にした僕を、朱里は上目使いで睨みあげてる。

また口が尖ってる。

幼い子供みたい。

そこがまた可愛いんだけど。



「ほらっ!立って!」


差し出した僕の手をつかんだ朱里を、ギュッと抱き締めた。

小さくて、フワフワで、抱き心地がいい。

ずっとギュッてしてたい。



「…好き」

「知ってるよ……」

「ずっとそばにいてね……」

「朱里が望んでくれるなら…」


僕たちはしばらくの間、そのまま抱き合っていた。