出掛ける準備をして外に出ると


「…――やっぱりいた…」


エントランスの見える辺りでサラリーマンが立ってる。

本当に毎日ご苦労様って感じ。






……でも、今日は一人じゃなかった……


「裏口、見つかったねー」


そう!今日はもう一人が裏口に立っていた。

同じようなスーツを着たサラリーマン。

目付きが違うから、普通の人じゃないのはすぐわかる。

まずいなー。

どうするかな?


「…行こう?颯太!」

「でも……」

「いつまでも隠れてられないし。……それに、颯太がいるから大丈夫」

そう言って、朱里は僕の手をとって歩き始めた。


でも、僕の手を握る朱里の手は、少しだけ震えていて、緊張しているのがわかる。

やっぱり怖いよね……


僕は朱里の手をギュッと握り返した。


「大丈夫。僕がいるから。そう言ったのは、朱里でしょ?」

「そ、そうだよね。颯太がいるから大丈夫。」


お互い、ギュッと握った手に力を入れ、裏口の扉を開けた。